12 暦年贈与または相続時精算課税制度
「相続時精算課税制度」
相続時精算課税制度は、消費を拡大するために、親から消費をする子の世代への贈与を早目にスムーズに行うために作られた制度です。
従って、この制度のメリットは、2500万円までは贈与税がかかりませんので、多額の贈与を、早い時期に行うことができることです。2500万円を超える部分には20%の贈与税がかかりますが、これは相続時に精算されます。その他のメリットは、贈与時の価額が相続時に加算されるので値上がりする見込みがあれば、値上がり分の相続税を回避することができます。さらに、収益物件の贈与であれば贈与後の収益は受贈者のものとなるので、相続税対策になります。
一方、デメリット及び留意点としては、相続であれば登録免許税0.4%のみですが、贈与の場合は登録免許税は2.0%となり、不動産取得税もかかります。贈与財産は小規模宅地等の特例が受けられないので注意する必要がある。住宅を建築しただけでも節税対策になるので、贈与者が建築してそれを贈与する方が良い。
15 財産評価を下げる(財産評価基本通達と不動産鑑定評価)
●相続税の評価は原則として時価とされています(相続税法22条)。
しかし、すべての不動産の時価を計算するのは大変なので、国税庁は、財産評価基本通達により全国一律に簡便な方法として路線価方式(一部倍率方式)を採用している。
本来、時価とは不動産市場において売買が成立する適正な時価である。この点、路線価は地価公示価格の80%を目安とされ、時価より低く設定されているため、一般的には時価の範囲内とされています。
しかし、土地の画地条件等によっては、この財産評価基本通達通りに評価した結果においても、時価よりかなり高めに評価される場合があります。このことは、依頼者から「この辺りの取引実績はそんなにしませんよ。」という情報を戴く事もあり、そのような場合は、不動産鑑定士が不動産市場で流通している時価を評価した鑑定書を添付して提出いたします。
この場合、下表は不動産価格に応じた鑑定評価報酬額を支払ってもペイする低減額を表しています。
例えば、財産評価基本通達で1億円の土地を鑑定評価して、1億円から100万円以上(例えば1000万円)安くなれば節税になることを示しています。
即ち、1億円から9,000万円に評価が下がれば、相続税は300万円(1000万円×30%)安くなり、30万円の鑑定評価報酬を払っても充分なメリットが残ります。
不動産価格 |
相続税率 |
鑑定評価報酬額 |
20万円 |
30万円 |
40万円 |
50万円 |
1,000万円以下 |
10% |
200万円 |
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1,000万円超〜3,000万円以下 |
15% |
134万円 |
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3,000万円超〜5,000万円以下 |
20% |
100万円 |
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5,000万円超〜1億円以下 |
30% |
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100万円 |
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1億円超〜2億円以下 |
40% |
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75万円 |
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2億円超〜3億円以下 |
45% |
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89万円 |
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3億円超〜4億円以下 |
50% |
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80万円 |
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4億円超〜6億円以下 |
55% |
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91万円 |
6億円超 |
55% |
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91万円 |
16 広大地判定意見書
●平成16年に財産評価基本通達の一部が改正され、広大地の評価が大幅に減額となる道が開けました。
広大地の面する路線の路線価 × 広大地補正率 = 広大地の評価額
広大地の補正率=0.6-0.05×広大地の面積/1000u
標準的な土地と比較すると40数%から最大65%(面積5000uの時、5000u以上は同じ)減額されます。
従って、広大地に該当すると判断されれば、相続税は大幅に減額されるので、不動産鑑定士が「広大地判定意見書」を別途作成して申告します。
「広大地判定意見書」は、不動産鑑定評価書とほぼ同じ内容で、最後に広大地該当要件に関するあてはめを実施し、最終的に広大地と判定した旨の結論で締めくくる。広大地判定の妥当性ををより確実なものとするために、開発想定図(条例及び開発要綱に基づく)を添付する。
「広大地該当要件」
@戸建分譲敵地であること
A分譲時に道路等の公共公益的施設を配置する必要があること
面積については厳密に規定されていませんが、概ね大都市圏の市街化区域で500u以上が多いようです。